VOL.13「私の起業history」小宮山広美
このカテゴリーでは、自分らしくイキイキと輝く女性達に「10年前の私に伝えたいこと」「10年後の私から現在の私へのメッセージ」というテーマでゲスト寄稿していただきます。第13回は、山梨県甲府市で黒曜石、シルクなどの自然素材を使った化粧品の製造・販売を行う株式会社hinaco 代表取締役 小宮山広美さんにご寄稿いただきました。
「私の起業history」小宮山広美(山梨県在住・59歳)
20代前半の私は、肌のトラブルで悩んでいました。大手化粧品メーカーの製品を試しても、肌の状態は一向に改善せず、それどころか悪化していきました。そんな中、雑誌で見つけた自然派化粧品を使ったところ、自分の肌に自信が持てるほど改善し、これがきっかけで、その化粧品の販売店を開業することになりました。
開業当初はなかなか売れず、苦労しました。それでも、近隣の学校や病院に出向いて職員の方々にサンプルを配り、根気よく商品の良さを伝え続けると、少しずつ売れるようになっていきました。
店が軌道に乗った頃、近くに化粧品ディスカウント店ができ、その店では私の店で販売している商品を仕入れ値と同額で販売していました。メーカーに抗議しても「そんな店には卸していない」と言われ、知らぬ存ぜぬの一点張りでした。
諦めて他社の製品を探し始めましたが、なかなか納得のいくものに出会えず、お客様からも「あなたのところはいつも勧めるものが違うけど、信用できないわ」と言われ、心が折れてしまいました。悪いことは続くもので、それからパニック障害を発症しました。30代半ばの頃です。その後も紆余曲折ありましたが、縁あって信州大学AREC研究員さんと出会い、長野県で採掘された黒曜石やシルクを使い、肌の常在菌活性化を目的とする保存料などの化学成分を一切含まないオリジナル化粧品「BLANC」を完成させることができました。そして、家族や周りの方々支えのおかげでパニック障害を克服することができました。
「BLANC」は、シミやシワをなくすことを目的とするのではなく、心地よさを重視し、ありのままの自分を肯定できるよう促す製品です。また、敏感肌の方や赤ちゃんにも安心して使えると好評を得ています。お客様からは「1日の終わりにBLANCを使うと心地よく眠れる。なくなったら困るので、ずっと続けてくださいね」とありがたいお言葉をいただき、本当に励みになっています。
夫は定年退職後、製造部門、経理、ホームページの作成などを担当し、私を支えてくれています。彼が作る手ごね石鹸「hinaco」は、顔や髪、全身に使える人気アイテムです。夫は大好きな音楽を聴きながら、お客様に喜んでいただけますようにと想いを込めて、とても楽しそうに石鹸を作っています。また、娘も若い視点からさまざまなアドバイスを与えてくれ、オンラインストアの開設やSNS発信を担当してくれています。
認知症の義母の介護や実母の世話、子育て、そして仕事と、毎日フル稼働で過ごしていました。そんな中で登山に楽しみを見つけ、仲間たちと様々な山に登りながら自然の美しさや心地よさを感じていました。10年後の今、変化の激しい時代に振り回されながらも、自分の内面に意識を向けて心を穏やかに保つように心がけていることを当時の私に伝えたいです。
今でもお店でお客様との会話を楽しみながら、そして家族とも支え合いながらもおちゃらけを言い合って相変わらず楽しくやってます。お客さんのお子さんやお孫さんも来てくれていますよ。
相変わらず好奇心旺盛で、いろんなことにチャレンジして人生を謳歌しています。
私が子どもだった頃、我が家にはいつも個性豊かな人々が集まり、母はお茶を出しながら楽しそうに会話をしていました。そんな光景を眺めているのが私は大好きでした。そして今でも、お客様の笑顔を見ることが何よりうれしいです。これからも、そんな笑顔を絶やさないために、この場所を守り続けていきます。