VO.3「笑ってグッバイするために」中村優子

このカテゴリーでは、自分らしくイキイキと輝く女性達に「10年前の私に伝えたいこと」「10年後の私から現在の私へのメッセージ」というテーマでゲスト寄稿していただきます。第3回は俳人の中村優子さんです。

「笑ってグッバイするために」中村優子(京都府在住・66歳)

リタイアを機に俳句とグレイヘアを始めました。俳号は智雪。現在俳句雑誌同人、編集、京都俳句作家協会の幹事として俳句の普及に勤めています。句集を一冊出すことが目下の目標です。 グレイヘアに憧れつつも人に会う仕事柄移行できたのは退職後でした。若い頃は黒い、多い、おまけに癖毛の髪質がコンプレックスでした。グレイヘアになって一転、髪を褒められるようになりました。40年ぶりにロングヘアにしてみたら、うっとおしいだけだった毛量をうらやましがられるようにもなりました。

10年前の私に伝えたいこと

何もかも一人でやろうとしなくていいんだよ

50代の私は身体的にも精神的にもどん底でした。仕事は多忙を極め、両親の介護が始まり、とどめに最愛の弟を癌で亡くしました。眠れなくなり、仕事や家事の処理能力が半減し、休日は泥のような倦怠感に起き上がれなくなりました。主治医には仕事をセーブするように言われましたが、私しかいないのだからと無理を続けた結果、転倒して足を骨折し2ヶ月入院しました。救急車で運ばれる途中も私の頭にあるのは明日の仕事をどうしよう、両親の介護をどうしようとそればかりでした。結局3ヶ月休職しましたが、仕事は同僚がフォローしてくれ、かかりつけの病院が両親を入院させてくれました。私じゃなきゃダメだと思っていたことは、私でなくても大丈夫なことだったんだと思い知りました。 典型的な長女気質の私は、亡くなった弟に「何もかも一人でやろうとしなくていいんだよ」といつも言われていたことを思い出しました。

身体が発するSOSに気づかないふりをしていた頃。
助けるべきは人ではなく、自分自身だったのに・・

私の背中を押してくれたオードリー・ヘップバーンの言葉

死を前にした時、みじめな気持ちで人生を振り返らなくてはならないとしたら、いやな出来事や逃したチャンス、やり残したことばかりを思いだすとしたら、それはとても不幸なことだと思うの。

オードリー・ヘップバーン

大好きなオードリー・ヘップバーンの言葉に背中を押されて、昨年「なでしこ日本コンテスト」に挑戦し、日本の和の文化を発信していく「クラシック部門」のファイナリストに選んでいただきました。ジバンシーがオードリーの為にデザインしたサブリナパンツは、痩せぎすの長身がコンプレックスだった彼女をエレガントに変身させました。 オードリーと同じように、長身(172cm)がコンプレックスだった私。コンテストのビューティーキャンプで、裾から背中にかけて模様がかけ上がる訪問着を着た私に、背の高さはギフト、この柄をカッコ良く着こなせるのは長身ならでは、と講師の方が言ってくださったことで自信がつき堂々とランウェイを歩くことができました。

“172cmの身長はギフト”
この言葉は笑顔でステージを歩かせてくれる羽になりました

10年後の私から現在の私へのメッセージ

“自分を大切にできるのは自分だけ”

コンプレックスを自信に変えることができたのは「背が高いからと猫背になるのはみっともない、ちゃんと背筋を伸ばして歩きなさい」と注意してくれた両親のお陰ですね。いつまでも颯爽と歩く為にジムにも通い始めました。ジムを続けることで10年後もスイスイ歩いていますよ。句集も上梓し、日々新たなことに挑戦しつづけるあなた、きっと最期は「ああ楽しかった」と笑ってこの世にグッバイできることでしょう。

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